蒼い日々の中で

オーストリア、ザルツブルクで指揮者になる修行中の水野蒼生が綴る散文たち。

「東京」ピアノ爆団

3度に渡って書いていく「東京ピアノ爆団」についての記事の第1篇「東京」。


東京に限らずデカい街が僕は好きだ。
そこに住む人の数だけ文化があり物語があり、そしてその数だけの舞台がある。でも街はずっと地続きだから舞台の境界線はリンクしている。文化と文化の境界は次第に溶けあって、また面白い何かがそこから生まれてひとつの舞台を作る。そんな空間が溶け合って生まれるパワーこそ大都市の魅力のひとつだと思っている。

 

「東京」でピアノ爆団をやる理由も、この大都市の可能性に賭ける思いから来ているんだと思う。

 

・人と音楽をより近づける為に
・音楽の楽しみ方を広げる為に
・何より気持ちいい響きの為に

「ライブハウスでのピアノリサイタル」

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こんなキャッチコピーと共に東京ピアノ爆団を立ち上げて今年で2年目。昨年2月の旗揚げ公演の1stリサイタルも今回と同じ吉祥寺はスターパインズカフェでの公演だった。大爆音で鳴り響く渾身のスクリャービンやドビュッシー、プロコフィエフを、ミラーボールが回る中で100人を越す老若男女のお客さん達と3人のピアニストが共有した。誰もが自然体でお酒を口にしながら音楽と共に揺れていた。

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変にオシャレして眠気と闘いながら一音たりとも聴き逃すまいと臨戦態勢で臨む人は誰もいなくて、ただ僕らが鳴らす音を認めて受け入れてくれた。

 

これを東京でやる事に意味があるんだ。

 

輸入されてきた高級趣向の文化っていうのは難しい。本質より先に形式が邪魔をする。本場と呼ばれる欧州ではお国の文化だから勿論根付いているし、変なプライドも嫌悪感も無い。日本では敷居の高さや貴族的なイメージが先に来てしまうから、ちょっと興味を持ってる音楽ファンも「何から手をつけていいか分からない」状態になってしまう。

 

それを取っ払わないとこの国に俺の大好きな最高にクールで激エモなクラシック音楽の未来は無ぇ!!!って高校生だった蒼生少年は既に薄々思っていたんだよね。

 

そんな、ツンツンに髪の毛を重力に逆らわせ、「オレ指揮者になっからぁ」ってチャラそうに中指突っ立ててほざいてた蒼生少年は20歳を越えた青年になり、遂にその問題意識を行動に移し、ここ東京でそれを始めた訳だ。

 

様々な文化がリンクして新しい何かが日々生まれている東京。そこにやって来てまだ馴染めていない高飛車に見えちゃっている転校生のクラシック音楽ちゃん。実は喋ってみたら最高に面白いし、クールで楽しい奴だって事を証明する為に、僕は東京ピアノ爆団を作ったんだと思う。

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その僕はピアニストではないのでDJをやるのだけれど、ステージでバカみたいに頭振って皆んなの笑い者になっても、この音楽を楽しんでくれる人が増えるのなら、誰かがこの音楽を知る入口になれるのなら、

俺は死ぬまでこの道化を演じ続けると思う。

 

この文化の新しい楽しみ方を発信するのはやっぱりこの街、東京がいいんだ。

 

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東京ピアノ爆団2ndリサイタル

2017年2月9日 at スターパインズカフェ

詳細は公式Twitter @piano_bombs まで。