日比谷線はこれから延々と「トリスタンとイゾルデ」を流し続けろ。
久々にニュースを見てめちゃくちゃに怒っている。
【日比谷線、車内BGMを試験導入 クラシック音楽で「より快適に」】
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1801/24/news115.html
クラシックがナメられている。なにが、「より快適に」だふざけるな。
もちろん、個人的に電車内でクラシックを聴くことはしょっちゅうある。満員電車に揉まれていても別世界に逃げることができた。
でもここで問題なのは、全ての人に対して強制的にそれを聴かせることだ。
(ITMediaより)
クラシックに興味の無い人からしたら、いずれドビュッシーの月の光は「日比谷線テーマソング」になり下がり、耳にする度に満員電車の情景が脳裏に浮かび、最悪の場合クラシック音楽がまとめて嫌われる可能性もあるわけだ。
「とりあえずクラシックでも流しておけばいいだろう」なんてアイデアは音楽に対して愛も知識も何もないクソったれにしか浮かばない。
少なくともこの提案には音楽に対して微塵のリスペクトも愛もない。
そもそも、クラシック音楽=癒されるという極端に偏ったイメージが社会に台頭していることが諸悪の根源、一番の間違いなんだ。
クラシック音楽は癒されるものではない。
それは何世紀にも渡って人々の心に強いメッセージを届け、
ありとあらゆる感情や森羅万象を表現でき、
今もなお世界中の人々を繋げる力を持った文明史上最も長くヒットし続けているモンスターミュージックなんだよ。
これなら最近の、中国でヒップホップに禁止令が出たことの方がまだ音楽が浮かばれる。
【中国、ラップ禁止令 反体制化を警戒か】
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018012301001969.html
国が音楽の力で転覆されることを本気でビビってる。
不当に廃絶された音楽家達が「はいわかりました辞めます」と言う筈が無い。これからヒップホップは廃絶どころか更に面白いところに向かっていくと思う。
クラシック地下鉄BGM化計画は中国ヒップホップ禁止令より遥かにひどい仕打ちだ。
クラシック音楽が持つ力とルーツをナメないでくれ。ヒーリング音楽として消費しないでくれ。
間違っても鉄の箱にぎゅうぎゅうに押し込められた人々のストレス緩和剤みたいな用途に使われる音楽ではない。
どうしても車内にクラシック音楽を垂れ流したいのならいっそ、ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」を流して4時間の演奏時間ずっと途切れることのないなんとも言えない緊張感を車内に提供してほしい。
そうしたらイヤフォンもせず耳を傾けて乗ってやる。