蒼い日々の中で

オーストリア、ザルツブルクで指揮者になる修行中の水野蒼生が綴る散文たち。

O.E.T結成記念公演"Opening"

ありとあらゆる感情が詰まった7月が終わった。

7月20日、僕らのベートーヴェンが渋谷に鳴り響いた夜から10日ほど経って、O.E.Tロスも身体的疲労も落ち着いて、今ようやくO.E.T結成記念公演"Opening"について文章を書き始める事が出来ている。

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企画を始めたのが1月で、
2月の帰国時にホールを抑えメンバーを集め始め、
3月にはコンセプトとロゴを決め、
4月からクラウドファンディングの準備を始め企画書を何枚も書いた
5月にはフライヤーも完成してクラウドファンディングが始まって
6月はクラファン関係で死に物狂いになりながら沢山取材をして頂いた


そして7月にはクラウドファンディングが成功、遂にO.E.Tが集まり4日間12時間ほどのリハーサルを終え、当日のホールには一階席ほぼ満席のお客さんと、鳴り響いた僕らのベートーヴェン。
公演は大成功、O.E.Tは最高のオープニングを飾る事が出来た。

簡単に書けばこんなもんだけれど、この半年間の中、どれだけのストーリーがあっただろう。

いずれそれは本にでも書いてやりたいと思っているけれど(笑)

とにかく本当に命掛けの半年間だったんだ。
だからこそ公演が成功した事が本当に嬉しかったし、終演後のオケの皆んなとお客さんの表情を見てその成功が自己満ではないことも分かって涙腺が緩んだ。

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小さくてもクラシックの入口を開く事が出来たと僕は思ってるし、開かれた扉の先の世界を、音楽を皆んなに観てもらえたと思う。
それに現在の僕らの出来る100%のベートーヴェンを夏の渋谷の夜に響かせることが出来たと自負してる。

僕は10代の頃からずっとベートーヴェンを愛していると公言してきたけれど、人前でちゃんとベートーヴェンの交響曲を指揮したのは実はこれが初めて。
好きだからこそ、リスペクトしていたからこそ、怖くて逃げていた。
長い間の葛藤からようやく自信と覚悟が出来て、ベートーヴェンと自分を向き合わせる事が出来た、そんな英雄だったんだ。

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それを聴いて、僕らがベートーヴェンに挑む姿をみて、何かを感じてもらえたのなら、僕らの音楽と思いを伝えられたのなら、このO.E.Tの旗揚げ公演は自己満ではなく社会的にも成功したんだと思っている。

もちろん演奏と運営共にまだまだ課題は山積みだけれど、その課題こそがO.E.Tを続けていくモチベーションとなっている。立ち上げることよりも続けることの方が大変という言葉は色んな所で聞くけれど、僕らO.E.Tなら大丈夫。とりあえずここから運営チームを結成してしっかりとシステムを構築、強くするために組織化を徹底していく。

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何はともあれ、今回の成功はもちろん僕の力ではなくて応援してくれた本当に多くの人のお陰なんだ。
あの夜に素晴らしい景色と音楽が在ったのは僕に関わってくれたあなたがいたから。僕1人じゃ勿論無理だった。

・日本にいない自分の代わりに色々動いてくれた両親
・クラウドファンディングのみならず全ての動画を作ってくれた愛基
・クラウドファンディングのメンターとして支えてくれた久田
・サイコーの写真を撮り続けてくれたミツモトケイスケ
・クラウドファンディングの文章校正から広報まで担当してくれた田代姉妹
・素晴らしいイラストを描いてくれたゆのさん
・自ら頼んだわけでもないのにO.E.Tの取材をして記事を書いてくれた友亨、柑橘さん、中川さん、日経の池田さん
・パート譜をザルツから東京に持ち帰ってくれた火ノ川
・当日スタッフを担当してくれた皆さん、
・もう1人の指揮者として支えてくれた駿
・全身全霊で弾いたトリプル協奏曲の後なのに全力で英雄を弾いてくれた三井とマキシム
・最大限にオケを引っ張ってくれたコンミスの晶世さん
・今回乗ってくれたオケの皆んな
・最高の音楽を残してくれたベートーヴェン
・そしてクラウドファンディングで支援してくれた皆さんと当日聴きに来てくれた皆さん

関わってくれた全ての人に、改めてお礼申しあげます。

お陰様でO.E.Tは最高の形でのスタートを切る事が出来ました。

本当にありがとうございます。

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荘厳に見える門の前に立つお茶目で気さくな門番として、O.E.Tはこれからもクラシックの入口を開き続けます。

今後ともO.E.Tをよろしくお願いします!

O.E.T代表
水野蒼生

 

All Photos by Keisuke Mitsumoto