蒼い日々の中で

オーストリア、ザルツブルクで指揮者になる修行中の水野蒼生が綴る散文たち。

人生の恩人であるフレディ・マーキュリーの命日に思うこと。

11月24日。

意識してこの日を迎えるのも今年で12回目。24歳の僕にとってちょうど人生の半分だけ、この日は僕にとって特別な意味を持っている。

 

11月24日。

フレディ・マーキュリーの命日。僕が生を受ける3年前の1991年のこの日、僕がもっとも尊敬する音楽家は45歳の若さでこの世を去った。

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QUEENに出会ったのは11年前の秋だった。

中学2年生、「洋楽聴いてるオレ」に憧れて、近所の図書館で適当にCDを借りてきた。その中の1枚にQUEENの「Greatest Hits Ⅲ」があった。その1枚は決して「洋楽聴いてるオレ」をかっこよく演出してくれることは無かったけれど、その後の僕の人生を大きく変えてしまう力を持っていた。

 

「とんでもないものに出会ってしまった」

その力強くも儚い美声、オーケストラ並みの壮大な力を持つバンドサウンド、その壮大な世界観に一気に引き込まれた。聴いているだけでゾクゾクさせられ、鳥肌が止まらなかった。

それ以前の僕はQUEENのQの字もフレディも知らず、We Will Rock Youの曲名すら分からずに「ウィーアー、ウィーアー、ラッキー!」と歌ってたド素人だったが、その1枚は13歳の僕を完璧にROCKしてしまった。

 

そこからののめり込み具合は凄かったと思う。

中学生の間に全オリジナルアルバムを集め、
伝記を読みあさり、
ライブ映像の上映イベントがあるたびに映画館に足を運び、
アダム・ランバートを客演で迎えたサマソニ公演、そして2度のEUツアーに参戦した。

自分一人でボヘミアンラプソディを多重録音したこともある。

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2015年1月、ウィーン公演を最前列で参戦

 

QUEENに出会ってから人生が変わった。
そこからジャンル、新旧を問わずにさまざまな音楽を聴き漁ることを覚えた。それはクラシック以外の音楽のカルチャーを知るきっかけになり、自分のアルバム名には「We Will Classic You」というサブタイトルを付けさせてもらった。(実際それのおかげでインタビューでQUEENのことを聞いてもらえている。)

 

そんな人生の恩人のQUEEN、そしてフレディ。彼の命日は毎年いつも一人で爆音でアルバムを聴いたりライブ映像を観たり、静かな追悼式を勝手にやっていた。今年までは。

 

 

映画ボヘミアンラプソディで爆発的QUEENブーム。

もちろんファンとしてこの映画を長年待ちわびてきたけれど、ここまで大きなムーブメントを起こすことになるとは思ってもみなかった。

インディーから追っかけてたバンドがメジャーでバカ売れするってこういう気持ちなのか……(笑)

ちょっと驚きもあるけれど、QUEENに関するコンテンツが莫大に増えたので嬉しいことだらけ。友人たちに布教できるきっかけも増えたしね。

 

実際ボヘミアンラプソディは本当に素晴らしい映画だった。

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20年間に及ぶバンドの歴史と数え切れないエピソード、それを2時間の中に自然に綺麗にまとめたその脚本力!「ご本人ですか……??」と言いたくなる至極の演技を魅せた最高の俳優陣。そして何よりも画面から伝わってくる製作陣のQUEEN愛!

実際には史実と大きく異なる点や時系列のパラドックスも多い (フレディのソロもそんなに悪いもんじゃないぜ!) が、「そんなことどうでもいい!」と筋金入りのファンでも両手放しで賞賛を送る。

 

その理由は、現役のQUEENメンバーの二人が全面的に監修していること。

 

バンドの歴史を知り尽くしているファンは史実とちょっとでも違うとツッコミたくなるものだ。
でもその製作陣にオリジナルのメンバーがいて、ブライアン・メイは実際に「これは伝記映画を超えたアート作品だ」と賞賛の声を送っている。彼ら2人が携わり認めたものなら、それならば!と細かいことは気にせずに純粋に作品を楽しみ、そして大手を振って賞賛を送る事ができる。
なんてスマートなファンサービスなんだろう!!!

 

まあ実際にこの映画は本当に素晴らしいのだけれど!

11月24日。

僕が意識して過ごす12回目のフレディの命日。今年は新旧大勢のファンとともに応援上映で泣いて笑って歌って、天国のフレディに感謝を届けたい。