蒼い日々の中で

オーストリア、ザルツブルクで指揮者になる修行中の水野蒼生が綴る散文たち。

O.E.Tがクラウドファンディングをする理由。

東京ベスト9と庶民オケ

東京は意外にも世界で稀に見るオーケストラ過密都市だ。まず在京のプロオケがこの街には9つもある。

この東京ベスト9の下にはアマチュアオケや学生オケは五万とあるし、プロの寄せ集めのオケだって結構あるもんだ。

 f:id:aoi_muzica:20170618182038j:image

そしてその大量の庶民オケの全てが集客に頭を悩ませながら日々企画を進めている。

例えば、1000人のホールで70人のオーケストラが演奏する。それでも半分以上の席がガラガラなんて事も結構よくある話なんだ。

「え、70人もいるんでしょ?1人が10人呼べばとりあえず700人埋まるじゃん?…余裕じゃん!」

…なんて思うかもしれないけれど、これが本当に大変なんだ。

オーケストラというのは演奏する群衆で、その群衆の一員となってしまうと中々派手な宣伝はしにくかったりもする。

運営側の人間は、フライヤーを楽器店やCD屋に置いてもらって、SNSで必死に告知して、最大限に動くけれど、それでも客席を見渡せば実際は身内だらけ。

ライブハウスを渡り歩くバンドマンのように「じわじわファンを増やして、いずれは武道館行ってやるぜ!!!」なんて発想すらオーケストラには無いものなんだ。(そんなアツい発言をする人間は大抵煙たがられる。)

 

東京のクラシックファンの大半は庶民オケには興味は無くて、彼らは東京ベスト9の方へ流れてしまう。

そりゃ、プロは勿論上手いし、世界的な指揮者やソリストだって呼べるんだ。そんなマジモンには敵わない。

ベスト9とは違う世界で生きている僕らは今日もとても小さい市場での集客合戦を小さな火花を散らせて繰り広げている。

f:id:aoi_muzica:20170618184429j:image
クラシック界の外側を見よう

そんなオーケストラ超過密地区、東京で僕らはO.E.Tを立ち上げた。

「凄腕若手プレイヤーが集結!」なんて謳い文句だけれど東京ベスト9には敵わないし、今はまだ全然庶民オケのひとつだ。

でも僕らはこの狭い市場の中での集客合戦を繰り広げるつもりは無いんだ。

じゃあどうするか?

そう、僕らが東京で産声をあげた理由はクラシック界の市場を拡大することなんだ。

クラシック音楽の入口というポジションに立って、

「ちょっと興味はあるけど、中々聴く機会がないんだよね〜。」

と思っている人たちにこの音楽の素晴らしさを存分に届けていく。

そんな入口のオーケストラになることが僕らの目標なんだ。

 

クラウドファンディングでオーケストラ!?

そこで僕らが選んだシステムが、クラウドファンディング。

f:id:aoi_muzica:20170618080858j:image

クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」でプロジェクトを立ち上げ、支援を募り、そのリターンという形でチケットを販売する。

僕らO.E.Tは、そんなクラウドファンディングを利用した新しいチケット販売システムに手を出してみた。

「今流行りのクラウドファンディング」という特殊性は話題にも繋がり、不特定多数の人にこのプロジェクトも見てもらえると思ったんだ。それも、クラシック界の外側の多くの人たちに。

 

「自分たちで資産家に当たって地道に資金を集めた方が堅実だ。」

僕らだって勿論そう思う。でもそれでコンサートがすんなり開けたとしても、結局のところそれはやっぱりクラシック界の中で身内と小さな市場にしか届けられない。

リスクがあったとしても広い世界に声を届けることを僕は選んだ。入口のオーケストラになるために。

プロジェクトが成功すればメディアからの注目も集められる。成功したところからが僕らの本当の挑戦なんだ。

 

目標金額、80万円。そんなに必要?

オーケストラのコンサート、実は結構お金がかかる。

派手な舞台演出や照明は無いにしろ、小さな会場ではオーケストラは入りきらないから大きな会場が必要だし、なにより奏者の数も多い。

・ホール代

・ホールの設備代(椅子や譜面台、ひな壇など、使った備品の数だけお金がかかる)

・ティンパニなどの個人が所有し得ない打楽器のレンタル

・オーケストラの練習場所の施設費

・楽譜

・メンバーの交通費

そんなものを全部ひっくるめてやっと、80万。
実際のところこれが必要最低経費。

 

リスクは承知。それでも新しい世界を見たい。

プロジェクトオーナーなんて名乗っているけれど、所詮ただの1人の音大生、ビジネス経験なんて無いし、クラウドファンディングだって勿論初めてだ。

しかも今月まで欧州にいて自分の足で歩いて資金調達も出来ない。

そんな僕がプロジェクトを立ち上げたことは本当に大きな、スリリングな挑戦だと思う。

2月から準備を始めて、1日もこのプロジェクトの事を忘れた日なんて勿論無いし、毎日不安に押しつぶされそうになりながら忍耐力を試されている。

それでもそこにクラシックの未来を広げる可能性があるなら、理想を叶える可能性があるのなら、挑戦しない手は絶対に無いから。

全体からしたら小さなことだけれど、このプロジェクトが成功したらそれは、クラシック界の新時代の幕開けを意味するって僕は本気で思ってる。

 f:id:aoi_muzica:20170618081239j:image

そしてその時はライブハウスを渡り歩くバンドマンのように、
「じわじわファン増やして、サントリーホール、いや武道館まで行ってやるぜ!」って心の底から叫びたい。

 

 

にほんブログ村 クラシックブログ 指揮者へ
にほんブログ村

 にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

コンサートに向けクラウドファンディング実施中です!チケットもこちらのサイトからお求め頂けます。是非一度ご覧くださいませ。

凄腕若手プレイヤーが集結!東京からクラシックをアツくするオーケストラ計画! - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

【コンサート詳細】
O.E.T結成記念公演"Opening "
出演者 O.E.T
ゲストヴァイオリン奏者: マキシム・ミシャリュク
チェロ奏者:三井静
指揮者/ピアノ奏者:大井駿
指揮者: 水野蒼生
会場 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(渋谷駅から徒歩5分)
日時2017年7月20日木曜日18時30分開場 19時開演
全席自由 一律3000円
主催 O.E.T
お問い合わせ orchestra.ensemble.tokyo@gmail.com
O.E.T公式サイト http://orchestra-ensemble.tokyo/
公式twitter https://mobile.twitter.com/o_e_tokyo
公式Instagram https://www.instagram.com/orchestra.ensemble.tokyo/

 

第九の歌詞を超訳してみたらエモすぎた件。

 

なあ兄弟。こんな音じゃなくてさ、
一緒に気持ちよくこの喜びを歌おうぜ。 

 

喜び。


それは、美しい神々の放つスパークと、楽園からの乙女。

 

僕たちは火を飲む覚悟で、その天上まで登ってやるよ。

 

時代に隔てられたもの達を、あなたの魔法が再び一つに束ねるところを見たいんだ。

 

そして僕らは全員、あなたの翼に優しく包まれて本当の兄弟になるんだ。

 

この賭けに乗っかった世界中の同士達、そして愛する人を見つけた君も、一緒に喜びを歌おうぜ。

 

そうだ!一人ぼっちの君もだよ、一緒に喜びを歌おうぜ。

 

そうすりゃ「卑屈な想い」なんてものは泣きながらどっかに行っちまうから。

 

大自然が喜びを飲み込んでいく。


善人も悪人も関係ねえ、皆んなその薔薇の跡を辿ってそこにいけ

 

その先で甘いキスと一杯のワイン、そして最強の友が君たちを待っている。

 

虫ケラにだって最高の喜びを!

 

だって、遂に天使が神の前に現れたんだから。

 

なんて心地良いんだ。


まるで太陽が空を縦横無尽に駆け回っているみたいな気分だよ。


なあ兄弟、君は自分の道を走れ!


そして勝利を得た英雄になるんだ。

 

それから抱き合おう。


そしてこのキスを世界中に届けるんだ。

 

星空の上には神がいる。

 

それを知って君たちはひれ伏すのかな?

 

そして世界は万物創造の神の存在を認めるのかな?

 

星空を見上げて探そう。


この上にこそ、僕らの喜びはあるのだから!

 

f:id:aoi_muzica:20170609171622j:image


自分で書いてみて、ただひたすらゾクゾクする。

今、めっちゃ興奮してる。エモすぎる。


この歌の和訳なんてググれば死ぬほど出てくる訳だけれど、どれも直訳過ぎたり、古い言い回しが多くてそのまま読んでも意味が分かりづらいんだ。

だから自分なりの解釈で現代語に超訳してみたんだけれど、なんだこれは。。。

良い歌詞過ぎかよ。

美しさ100点、高揚感100点、心に響く度120点。

間違いなく最&高。

 

この詩は元々、18世紀のドイツの詩人フリードリヒ・フォン・シラーが書いた「歓喜に寄せて」という詩なのだけれど、最初の一節、太字になっているところはベートーヴェン本人が付け加えた歌詞で、この一節こそベートーヴェンがこの曲に込めたメッセージそのものなんだと思う。

 

ベートーヴェンはこの詩に22歳の時に出会い、感激した。

そして54歳になり、ようやく彼はこの詩を自分の中に飲み込んで、彼の9つ目の交響曲として、詩に別の形で永遠の命を与えたんだ。

 

この詩はただベートーヴェンが音楽を付けただけの物ではなくて、ベートーヴェンという1人の男の人生を共に歩んできた彼の相棒のような存在だったのかも知れない。

 


そういえば、この夏にベートーヴェンの曲だけを演奏するオーケストラのコンサートがあるんだ。

僕らが今年立ち上げた新しい若手オーケストラの旗揚げ公演がそれだ。

f:id:aoi_muzica:20170609171859j:image

「クラシックの入口を開くカギとなるオーケストラ」として、僕らは東京からクラシックをこれから若手代表として盛り上げていく訳だけれど、

音楽の新時代を切り拓いたパイオニアであり、何より生きるエネルギーに満ち溢れているベートーヴェンの音楽はそんな僕らの船出にもっとも相応しいと思っている。

 

今回はこの第九では無くて交響曲第3番「英雄」や、トリプル協奏曲(ピアノ、ヴァイオリン、チェロとオーケストラの協奏曲!)などを演奏するけれど、その曲たちにもベートーヴェンの生きるエネルギーは充分満ち溢れていて、それは21世紀の東京で毎日忙しく奔走している僕らにも絶対に響くメッセージ性を持っていると思うんだ。

 

そしてこれらの中期の作品を書いた時、ベートーヴェンは既にこの詩「歓喜に寄せて」に出会っていた訳で、ここに謳われるメッセージは僕らが今回演奏する作品の中にもきっと生きていると僕は信じている。

にほんブログ村 クラシックブログ 指揮者へ
にほんブログ村

 にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

コンサートに向けクラウドファンディング実施中です!チケットもこちらのサイトからお求め頂けます。是非一度ご覧くださいませ。

凄腕若手プレイヤーが集結!東京からクラシックをアツくするオーケストラ計画! - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

【コンサート詳細】
O.E.T結成記念公演"Opening "
出演者 O.E.T
ゲストヴァイオリン奏者: マキシム・ミシャリュク
チェロ奏者:三井静
指揮者/ピアノ奏者:大井駿
指揮者: 水野蒼生
会場 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(渋谷駅から徒歩5分)
日時2017年7月20日木曜日18時30分開場 19時開演
全席自由 一律3000円
主催 O.E.T
お問い合わせ orchestra.ensemble.tokyo@gmail.com
O.E.T公式サイト http://orchestra-ensemble.tokyo/
公式twitter https://mobile.twitter.com/o_e_tokyo
公式Instagram https://www.instagram.com/orchestra.ensemble.tokyo/

3000円の魅力的な使い方。

想像してみてほしい。

 

「あなたは3000円、貰えます。」


「しかしあなたはそれを今日1日の間に最も充実した使い方をしなければいけません。その為ならなんだってかまいません。」


ずっと欲しかったレコードを買ったり、高級ホテルのランチに行ってみたり、文庫本を何冊も買い込んで夜が更けるまで読み漁るなんてのも良いかもしれない。

英世3枚を拳に握りしめて、あなたは考え、色々ググって、遂に街に飛び出す。

 

街にはモノやコトが溢れている。3000円の使いみちなんて何百通りとあるし、時代が進むにつれてモノやコトは街に増え続けるばかりだ。

そんな優雅な体験を求めて彷徨う街角だったり、ググりまくって低電力モードになったiPhoneの画面の中だったり、モノやコトを探すあなたが、もしこんなフライヤーを見つけたなら。

f:id:aoi_muzica:20170606020807j:image
O.E.T。
"オーケストラ・アンサンブル・東京" の頭文字をとった暗号めいた名前のこのオケは、東京を拠点に活動する若手室内オーケストラだ。

「クラシック音楽の入口を開くカギとなるオーケストラ」として東京からクラシック音楽の未来を担おうとしていて、その初めてのコンサートをこの夏に渋谷で開催する。

 

別にO.E.Tのコレに限らずに東京では今日もきっとどこかで一流のオーケストラの演奏会が行われている。この街には9つものプロオケがあって、そんなクラシック音楽都市は世界中探しても東京だけだと思う。

そして今日もこの街のどこかで限りない集中力で音楽に向かうオーケストラという名の群衆がいて、それを観て心を動かされる人々がいる。

 

コンサートホールの中は普段の僕らの生活からは完璧に隔離された別世界で、まるで時間が止まっているように日々の忙しい喧騒を忘れさせてくれる。
そのエンプティな空間で繰り広げられる目には見えない音のドラマ。もちろんステージにはそれを奏でる僕ら音楽家がいて、数百年前の1人の男が紡いだ音符の羅列を21世紀の今日に、僕らのやり方で丁寧かつ大胆に現像して演奏を続けている。
それを見て楽しむのも、目を瞑って音楽の世界に没頭して、時に微睡むのも良いと思う。音楽だけが存在する空間に2時間ちょっと身を置いてみるのも英世3枚分の素敵な時間の過ごし方だと思うんだ。

 

普段聴きなれない音楽を、普段行かない環境で観て聴いて、コンサートホールから外に出てみればもうこの街に夜は訪れていて、湿っぽくも涼しい空気の中で思い出すに思い出せないその特別な音楽の残り香を楽しみながら帰路に着く。

それとも一緒に聴きに来たあなたの友人や恋人、家族と美味しいお酒を飲みながら感想を語り合って楽しく過ごそうか。


といった感じでコンサート後も音楽は素敵な時間を演出してくれるだろう。

 

梅雨が明けたばかりの夏の始まりの夜に、3000円で出来るちょっと魅力的な体験を、僕らO.E.Tと作りませんか?

 

にほんブログ村 クラシックブログ 指揮者へ
にほんブログ村

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

コンサートに向けクラウドファンディング実施中です!チケットもこちらのサイトからお求め頂けます。是非一度ご覧くださいませ。

凄腕若手プレイヤーが集結!東京からクラシックをアツくするオーケストラ計画! - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

【コンサート詳細】
O.E.T結成記念公演"Opening "
出演者 O.E.T
ゲストヴァイオリン奏者: マキシム・ミシャリュク
チェロ奏者:三井静
指揮者/ピアノ奏者:大井駿
指揮者: 水野蒼生
会場 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(渋谷駅から徒歩5分)
日時2017年7月20日木曜日18時30分開場 19時開演
全席自由 一律3000円
主催 O.E.T
お問い合わせ orchestra.ensemble.tokyo@gmail.com
O.E.T公式サイト http://orchestra-ensemble.tokyo/
公式twitter https://mobile.twitter.com/o_e_tokyo
公式Instagram https://www.instagram.com/orchestra.ensemble.tokyo/

 

ベートーヴェンが笑ってるwww

 

そりゃ人間だもん。


笑うし泣くよ?ベートーヴェン。

f:id:aoi_muzica:20170602063425j:imageEdited by  Faceapp
「どうもルートヴィヒっす。作曲家やってます。趣味は朝に60粒数えて豆を挽いて淹れるコーヒーです。よろしくお願いしまーす!」


そうなの。実はかなーり人間臭かったベートーヴェン。恋愛も友情も100%だったわけで、そんな人生の思い出こそ、名曲が湧き出る泉だったりもする。


でも21世紀になってベートーヴェンのイメージってどうよ?

実際多くの人が思い浮かぶのが、音楽室の壁にかかってる埃まみれのコレでしょ?

f:id:aoi_muzica:20170602061542j:image 

それで、 

ジャジャジャジャーン

でしょ?

 

しかもちょっと調べれば、「このように運命は扉を叩く(ドヤァ)」みたいな堅苦すぃーーー言葉が出てきて、ウワァ……ってなっちゃう人、実は結構いるんじゃ無いでしょうか。

そりゃそんなイメージしか無かったら俺だって「堅くてウザいやつもうグッバーイ」って替え歌歌いながら酒飲んでる方が楽しいと思っちゃうよ。
(騙されたと思ってベートーヴェンの運命、最初の1分耐えてみてほしい。そのあとからのドライブ感やばいから!)

 


別にクラシック聴いてもお前のQOLは上がらねえよ?

 

初めてオーケストラを聴きに来てくれたお客さんや、僕がコンサートに誘った友達が、「オレはクラシックを聴いた(ドヤァ)」みたいに、音楽を感じるのではなくてステータスを積む為の苦行になってしまうのは此方としては本当に寂しい。

「いや違うやん!お前この間一緒にZepp Tokyo行った時もっと素直にキラッキラの笑顔で音楽楽しんでたやん!なんでクラシックってなると急にこうなっちゃうの!」
ってな具合にツッコミたくなっちゃうんだけれど…まあ勿論音楽を楽しむ環境も、コンサートの進行スタイルもライブとは全然違うけれど、「キチンとした服装でお行儀よく聴かなくちゃいけない高尚な音楽」っていうイメージが先行し過ぎてしまっている事に問題があると思う。

もし作曲家達が21世紀で活動してたら、ベートーヴェンはエレキギターをマーシャルにぶっ刺してギュインギュインやってただろうし、モーツァルトはキングオブポップになっていたと思う。リストが出すMVとか絶対カッコ良さそうだし、ワーグナーは金に物言わせてハリウッドスタジオ全面協力のもとオペラ作ったんだろうなあー。(それ観たすぎかよ…)

 

僕らのコンサートでは素直な気持ちでベートーヴェンの音楽に出会って欲しいな。

 

話がズレたけれど、言いたい事はこれだけ。

今年東京で立ち上げたばかりのオーケストラ、O.E.Tはこの夏に渋谷でベートーヴェンのみのコンサート「O.E.T 結成記念公演"Opening"を開催します。

f:id:aoi_muzica:20170602062428j:image
僕らは「クラシック音楽の入口を開くカギ」となるオーケストラを目指していて、その第一歩のコンサートがコレなんだ。

そんな僕らのコンサートでは音楽室の壁にかかる埃まみれの険しい顔のベートーヴェンのイメージを取っ払うから、人間臭さ100%のベートーヴェンの音楽を感じてほしい。


地元の居酒屋で友達とビール片手に笑いあうベートーヴェンを。


ストレート過ぎる物言いで友達と喧嘩して、後から後悔して寂しくなって手紙で心の底からのゴメンを伝える不器用だけど憎めないベートーヴェンを。


自分のモチベーションを保つためにノートに自分を焚きつける文章を死ぬほど書きなぐった人間臭いベートーヴェンを。


片想いの女の子に猛アタックして振られ、出せなかった手紙が部屋にたまっていく実は女々しいベートーヴェンを。


本当に人と一緒にいるのが好きだったのに耳が聴こえにくくなってそれを悟られないように社交的な性格を押し殺した悲運な、そんな人間臭いベートーヴェンを!

 

感情100%の人生を歌い踊るベートーヴェンの姿を僕らの演奏を通して見つけて貰えたら、僕は嬉しい。

 

 

 

にほんブログ村 クラシックブログ 指揮者へ
にほんブログ村

 

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村

—————————————————————

 

コンサートに向けクラウドファンディング実施中です!チケットもこちらのサイトからお求め頂けます。是非一度ご覧くださいませ。

凄腕若手プレイヤーが集結!東京からクラシックをアツくするオーケストラ計画! - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

【コンサート詳細】
O.E.T結成記念公演"Opening "
出演者 O.E.T
ゲストヴァイオリン奏者: マキシム・ミシャリュク
チェロ奏者:三井静
指揮者/ピアノ奏者:大井駿
指揮者: 水野蒼生
会場 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(渋谷駅から徒歩5分)
日時2017年7月20日木曜日18時30分開場 19時開演
全席自由 一律3000円
主催 O.E.T
お問い合わせ orchestra.ensemble.tokyo@gmail.com
O.E.T公式サイト http://orchestra-ensemble.tokyo/
公式twitter https://mobile.twitter.com/o_e_tokyo
公式Instagram https://www.instagram.com/orchestra.ensemble.tokyo/

新しいこと。

長いこと僕はずっと、このブログに雪の日の思い出を書き殴ってきたけれど、もう外は初夏の太陽がギラギラと街を照らしていて、エアコン文化がないこの国に少しの苛立ちを覚える季節になっている。

 

今日僕がここに書きたいのは、過去の記録ではなくて未来にある新しいことについて。

そして、その新しいことに関するあなたへのお願い。

それをどうしても伝えたくて僕はまた拙い文章を綴っている。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


この春にO.E.Tという新しい室内オーケストラを東京で仲間たちと立ち上げました。

オーケストラ・アンサンブル・東京の頭文字をとった名前のこのO.E.Tは「クラシック音楽の入口を開くカギとなるオーケストラ」として、今後東京を拠点に活動していきます。

 f:id:aoi_muzica:20170524085942j:image

そしてこの夏、7月20日には結成記念公演"Opening"を、渋谷区文化総合センター大和田 さくらホールにて開催します。

演奏する曲は全てベートーヴェンの作品に絞りました。

欧州からのゲストソリストを迎え、20代のトッププレイヤー達が集うオーケストラが本気でベートーヴェンの音楽に挑む、中々に豪華な船出の公演になると思います。

f:id:aoi_muzica:20170524084438j:imageイラスト©︎ゆの 

f:id:aoi_muzica:20170524084528j:image

 

ホールを抑え、メンバーを集め、練習場所を探し、フライヤーを作り、中々骨の折れる仕事を日本にいる仲間達と手分けして今日まで地道に進めてきました。


そしてここからが新しいステップ。
僕たちの新しい挑戦が明日、5月24日から始まります。

 

今回僕らはクラウドファンディングという形でコンサートの資金を集めます。

f:id:aoi_muzica:20170524084828j:image

 

23歳になりたての若造には無謀な挑戦だって思う人も多いと思います。ビジネス経験なんて皆無と言っても過言じゃない。もちろんファンディングなんてこれが初めて。

それでもこのクラウドファンディングならより多くの人に僕らの愛する音楽を、僕らの野望を知ってもらえる。

そしてこのクラシック音楽をより多くの人に届けることができる。

だから僕はこのオーケストラO.E.Tの命運をクラウドファンディングに賭けてみようと思ったんです。

 

[凄腕若手プレイヤーが集結!東京からクラシックをアツくするオーケストラ計画! - CAMPFIRE(キャンプファイヤー):title]

 

そしてこのプロジェクトを見つけてくれたあなたが、これを今まさに読んでくれているあなたが!これから動き始めようとする僕らのオーケストラのパトロンになってくれたら、クラシック音楽の入口のカギを僕らと一緒に回してくれたら、こんなに嬉しい事はありません。

 

わざわざこの拙いウザいブログを開いて読んでもらっている上、更にお願いをするのは烏滸がましいけれどそれを分かった上で、

 

お願いします。

 

このプロジェクトをもっと多くの人に届けられるように拡散して欲しいんです。

そして、僕らのコンサートに遊びに来てください。

チケットはクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」よりお求め頂けます。

 

僕らO.E.Tの船出に力を貸して下さい!

 

 

 【公演概要】
O.E.T結成記念公演"Opening "
出演者
ゲストヴァイオリン奏者: マキシム・ミシャリュク
チェロ奏者:三井静
指揮者/ピアノ奏者:大井駿
指揮者: 水野蒼生
会場 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(渋谷駅から徒歩5分)
2017年7月20日木曜日18時30分開場 19時開演
全席自由 一律3000円
主催 O.E.T
お問い合わせ orchestra.ensemble.tokyo@gmail.com
O.E.T公式サイト http://orchestra-ensemble.tokyo/
公式twitter https://mobile.twitter.com/o_e_tokyo
公式Instagram https://www.instagram.com/orchestra.ensemble.tokyo/

東京ピアノ爆団 2ndリサイタル プレイバック No.5

本編を全て終えてザワザワと熱狂するフロアを前にステージからは再び轟音のピアノが鳴り響き始めた。

この夜を彩ってくれた3人のピアニスト、鶴久龍太、三好駿、高橋優介の3人6手によるヘンデルの「ハレルヤ」。誰もが一度は絶対に耳にしたことのあるヘンデルのオラトリオ「メサイヤ」の中の一曲だ。

元々はオーケストラと合唱による大編成の作品だが、タケルがこの日のために3人での連弾用にアレンジ譜を書いてきてくれた。

 f:id:aoi_muzica:20170518183516j:imagePhoto by Hirokazu Takahashi 

フロアは笑顔でいっぱいだった。キラキラ輝くハレルヤは頭上の2つの大きなスピーカーからガンガンと鳴り響き、その音楽に所々から歓声が上がり、歌声もステージに飛んでくる。お客さんの中には歌手の方も何人かいたみたいで本気の合唱もちらほらと聴こえる。ミラーボールは相変わらずギラギラと回り続け、ステージには楽しそうに連弾する3人のピアニストと、観客を煽るバカなMCが1人、マイクをフロアに向け「ハレルヤ」でコールアンドレスポンスをしてはしゃいでいた。

 f:id:aoi_muzica:20170518183547j:imagePhoto by Hirokazu Takahashi 

音楽は更にハレルヤのフレーズを畳み掛けてラストスパートをかけ、この大饗宴を終わらせる和音が鳴り響く。その和音が長く響く中で溢れる喝采はこの夜で最も温かさに満ちていた。

 

この日のお客さんの数は111人。椅子とテーブルがフロアに出ていたとはいえ、ほぼ満席の状態だった。

 

東京ピアノ爆団は別に今までのクラシックのスタイルを否定している訳では無くて、ただ新しい楽しみ方を提案しているだけだ。静かに音楽だけが生存する環境でじっくり集中して聴きたい人はコンサートホールに足を運べばいい。でもこんな風にワイワイ盛り上がってクラシックを聴きたい人の居場所もあったって良いじゃないか。

東京ピアノ爆団という新しい楽しみ方があったって良いじゃないか。

そんな思いから「試しにやってみるかあ」と昨年始めたこの企画も既に2回目を終えた。まだまだ可能性は無限大だし、これから大きくなる予感しかしない。

 f:id:aoi_muzica:20170518183906j:imagePhoto by Hirokazu Takahashi 

さあ来年の3rdリサイタルはどんな企画にしようか。今から夏にメンバーとミーティングするのが楽しみでしょうがない。またすぐに新しいニュースを届けられるだろうから、それまで暫く待っていて下さい。そして、東京ピアノ爆団じゃなくても音楽はあらゆる所で楽しめるから、是非この機会にピアノ曲でも手に取ってみてはどうだろう。

 

最後に僕たちは肩を組み大勢のお客さんにお辞儀する。何度も何度も、その拍手に応えてお辞儀をした。

 f:id:aoi_muzica:20170518183655j:imagePhoto by Hirokazu Takahashi 

 

どれだけの人が未だにピアノ爆団のプレイバックを読みたいと思っているか分からない中だったけれど、なんとか長い時間をかけてこうして書き終える事ができて良かった。

 

思えば今年立ち上げたこのブログ、今までピアノ爆団の事しか書いていなかったけれど、これでようやく次のテーマに進めそうだ。2月の雪の日の思い出を綴る中で季節は随分と動いていて、ここザルツブルクは既に初夏の天気となっている。いや、これまでに色んな事があったんだ。早くそれを書きたくてウズウズしている。

 

まあ何はともあれ、合計5本の記事となった東京ピアノ爆団2ndリサイタルのプレイバックはこれで幕を閉じます。

来年の3rdリサイタルでまたお会いしましょう。

 

東京ピアノ爆団 2ndリサイタル プレイバック No.4

「では、今夜の東京ピアノ爆団セカンドリサイタルの成功を祝って、、乾杯!」

 f:id:aoi_muzica:20170507212641j:imagePhoto by Hirokazu Takahashi 

 

ステージで乾杯の音頭を取り、再び10分間のDJタイム。そんな転換の時間はあっという間に過ぎ去り、僕は最後のピアニストを呼び込みステージを後にする。


ピアニストを待つ拍手の中、暗転したステージの奥から聴こえてくるハーモニカのような音。

ゆらゆらとステージの袖からは鍵盤ハーモニカを吹きながら黒い影が歩いてくる。

彼こそがこのリサイタルのトリを務めた高橋優介だった。

 f:id:aoi_muzica:20170507215527j:imagePhoto by Souji Taniguchi

黒いシャツとスラックスの上に黒いパーカーという、これまた異様な出で立ち。

「あー良い曲だ。……これは失礼、わたくしピアニストの高橋優介と申します。以後お見知り置きを。」

ゆらゆらと吹いていた鍵盤ハーモニカをパタリと止め、軽くお辞儀した彼はポケットから颯爽とiPhoneを取り出す。

 

「えー、クラシック音楽史が誇る音楽の父、ヨハン、セバスティアン、バッハ、彼の手によって作られたー、えー、……あれ、これなんて読むんだっけ」


まさかのウィキペディアの朗読にフロア全体は笑い声で満ちていて、「頑張れー!」と冗談めかした掛け声が飛ぶ。そんな軽く楽しい雰囲気の中、あの曲は突然始まったんだ。

 

硬く冷たいハーモニーの流れから始まったその曲はJ.S.Bachのシャコンヌ(ブゾーニ編曲版)。
元々は無伴奏ヴァイオリンの為のバッハの変奏曲だけれど、それをピアニストのブゾーニがピアノ用に編曲した超絶技巧曲。

 

心の底辺を徐々に削り取られていくような、痛みを伴う変奏が続いたあとに、その世界は初めての明るみを見せ、長調で大らかに歌う旋律がそれまでに感じた痛みを和らげていく。

その後もこの曲は様々な表情や景色を僕らに見せてくれるのだけれど、もう僕には言葉に出来なかった。

 f:id:aoi_muzica:20170507212744j:imagePhoto by Hirokazu Takahashi 

フロアでピアニスト達の演奏を聴いている時は、主宰でもあるが故にお客さん達が自然に楽しめるようにと率先して掛け声や歓声を送っていた僕だけれど、その演奏には僕も言葉を失った。

 

一音も無駄にしたくない。

全ての音をこの心に飲み込みたい。


東京ピアノ爆団で初めての「静寂」が生まれた瞬間だった。

 
高橋優介は18歳で東京音楽コンクールで優勝し、その後数多くのプロオケと共演する凄腕の若手ピアニストであり、過去に2度協奏曲で共演した尊敬する同志であり、僕と同い年の友人だ。

そんな彼の、東京ピアノ爆団の枠を超えた演奏を前にして誰もが「音楽を聴きたい」という純粋な気持ちで、ピアノ以外の音を葬ったんだ。

 

熱演が終わった後の爆発的な歓声はもう言うまでも無い。
誰もが惜しみなく拍手を送っていた。

 

その中で再びマイクを持つ優介。

「フランスの大作曲家、モーリス・ラヴェル。
彼は授かったその命を生涯独身で貫きました。」

拍手がまだ鳴り止まない中唐突に始まる次の曲のMCに大歓声は大爆笑に変わる。今度は彼の手にiPhoneは無い。


「おや?……ただいま私の時計を確認したところ、この会場は今現在、1855年、ウィーンの宮廷にタイムスリップしてしまったようです。
皆さん天井をご覧ください!我々の真上には豪華なシャンデリアが、絢爛と輝いております。今夜ご来場頂いた皆様、是非私めと、ワルツでも踊りませんか?」

 f:id:aoi_muzica:20170507212802j:imagePhoto by Hirokazu Takahashi 

ミラーボールをシャンデリアに見立てた芝居仕立てのちょっとクサいMCに僕らは大いに笑い、拍手を送り、そのワルツが始まるのを心待ちにする。

 

ラヴェル作曲の「ラ・ヴァルス」。
ヴァルスとはフランス語で「ワルツ」の事で、音の魔術師と言われるラヴェルがウィンナーワルツをモチーフに作曲したワルツのパロディ。

低音がおどろおどろしく静かに轟きながら始まるこの曲、とても出だしはワルツには聴こえない。
低音の霧が全てを隠し、ワルツどころかなんの景色も見えない真っ暗のまま曲は進んでいく。
それでも少しずつ霧は薄れ始めてその切れ目から優雅な響きが聴こえ、遠くにはうっすらと舞踏会の灯が見え隠れしている。

 

しばらく経って霧は完全に消えて豪華絢爛なワルツが流れ、それをツマミにお酒を楽しむお客さん達。ああなんて素敵な時間の過ごし方なんだろう。心が洗われていく。

 

だが、今夜は東京ピアノ爆団のリサイタル。そのリサイタルがこのままお上品に終わるわけがなかった。

 

気持ちよくゆったり音楽を楽しむオーディエンスに突如殴りかかる力強い低音、その直後には尋常じゃない大量の音の粒が群れを成して僕らに向かって飛びかかってくる。
もはやそこにワルツの一定のリズムは無くて、狂瀾の中にひたすらに踊り狂う群衆が優介のピアノから溢れ出す。

 f:id:aoi_muzica:20170507212825j:imagePhoto by Yukino Komatsu 

「皆んな立とう!踊ろうぜ!」

僕は知らぬ間にフロアの最前列のど真ん中に飛び出してそう叫んでいた。

 

キラキラと輝く豪華なシャンデリア。今僕らの前で鳴り響いている音楽にそんなお上品な言葉は見当たらない。

その狂気にも似た舞踏を産む音楽はこの場の空気そのものをぐわっと動かし、操り、僕らの心を半ば強制的に踊らせてしまったんだ。

 f:id:aoi_muzica:20170507212920j:imagePhoto by Aoi Mizuno  

僕はお客さん達の手を取って立たせてまわる。

舞台はより一層明るくなって僕らの頭上には再びミラーボールがギラギラと回り出す。

長く続く緊張感に満ちたクレシェンドを全て乗り越え、ワルツは轟音の和音と共に、遂に頂点に達する。

その瞬間に湧き上がるフロアからの大歓声と拍手、収まることを知らないピアノの響きはさらなる快感を目指して最後までフロアを縦横無尽に駆け巡り続けた。

 

終演後、歓声はいつまでも一向に収まらない。

カーテンコールで再びヒョコッと舞台に現れる優介。あどけない笑顔で軽く会釈し、彼は再び鍵盤に優しく指を置いた。

 

アンコールに優介が弾き始めたその温かく美しい旋律は、イギリスの作曲家エルガーの「愛の挨拶」の即興アレンジ。

極限にまで熱狂した僕らの心を今度は優しさで包み込むような、そんな響きに目頭が熱くなった。

 

バッハに黙らされて、ラヴェルに熱狂させられて、そして今はエルガーに優しく包まれているだなんて、なんてドラマチックな30分間だった事だろう。

 

そんな優しい演奏が終わった後も、フロアからの拍手喝采は収まらない。今夜、この場におざなりな拍手なんてものは何処にも無くて、歓声を上げる皆んなの笑顔は本当に美しい限りだった。

 

こうして僕ら東京ピアノ爆団の本編は終わり、舞台にツルとタケルと優介、3人のピアニストが初めてが同時に揃った。


歓声が未だに響く中、3人は肩を並べてピアノに向かう。それぞれ3人の合計30本の指が鍵盤に置かれ、アンコールが始まろうとしていた。

 

続く。